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25.マクワ・メロンの栽培

2023.04.15

メロンその他

マクワ・メロンの栽培

マクワは古くから我が国で栽培されてきました。万葉集にも「瓜食ば子どもおもほゆ・・・」と山上憶良の歌がありますし、絵にも描かれてきました。各地にいろんな品種が保存されていて、家庭菜園で今も栽培が続いています。また日本で最初に育成された露地メロンのF1品種は「プリンスメロン」です。フランスから導入されたメロン品種「シャランテ」に日本のマクワ品種「ニューメロン」を組み合わせて育成されました。
栽培特性がマクワに近い、メロンF1品種は家庭菜園でも栽培できます。
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栽培には苗を購入するのが手っ取り早いのですが、種を蒔いても栽培できます。特にこの地域の苗販売は4月の下旬から5月上旬ですので、この時期に栽培を始めると、7月の上旬に収穫が終わってしまうので、夏休みにお孫さんと収穫を楽しみたいと考えている人には、同じ時期に種を蒔くことをお薦めします。昔はおばあさんが、種を懐に入れて、発芽させたものですが、今では洋服ですのでそれができません。良い方法は、パンストを切って袋を作りその中に種を入れて、一晩風呂の残り湯で吸水させたあと湿ったキッチンペーパーで挟み込み、ラップで包んで、アンカや使い捨てカイロで保温して発芽させます。根が少し伸びた種を、畑に作ったキャップの中に植え込みます。キャップは早く準備しておき、中の土を暖めておきます。植え込みをする土は、消毒済みの購入培土を、1リッターほどキャップの中へ入れて使うのが良いでしょう。

苗の植え付け
3.3m2当たり完熟堆肥バケツに2杯と化成肥料300g、苦土石灰250gをふり、東西の方向に180から200cm幅の畦をたてます。畦の中央、又は北側に90cm幅の黒のポリフィルムでマルチをします。黒マルチの中央に、株間90cmで植え穴を掘り、粒状の殺虫剤を播きます。少し土と攪拌して、購入した苗を植え付けます。植え付け時に苗の芽を本葉3葉の上でつまんでおきます。たっぷり灌水して、キャップをかぶせ保温と防風をします。つるがキャップの中で伸びたら、キャップを少しずつ破って、つるを順次伸ばしていきます。
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敷きワラと整枝
つるの伸びにしたがって敷きワラをします。つるが伸びると生育の良い4本を残して、他は取り除きます。マルチの中央へ苗を植えた場合は4本のつるを四方に、北側に植えた場合は南の方向に4本並べて配置します。各つるの株元から7枚程度の葉の元から出た芽はすべて取り除きます。その先の3~4つの芽を着果枝とします。葉を2枚付けて芽をつまみ、1葉目の腋についた雌花に着果させます。
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交配から着果
マクワやメロン(マクワ型)は孫づるの第1節に雌花がつきます。どの孫づるにも着きますが株がある程度大きくなって着果させたほうが良い果実になるので。株元の孫づるは取りのぞきます。各子づるに3~4つの雌花を付けて開花を待ちます。孫づるの先は2葉が着いたら摘心しておきます。雌花が開花したら、朝のうちに同じ株の雄花を取って交配します。ハチがいれば交配してくれますが、春が早いとハチも少ないため交配が必要です。
病害虫防除
マクワの栽培で最も被害の大きいのは、うどん粉病とウリハムシです、登録のある農薬で定期的に防除をすることが必要です。家庭菜園でのウリハムシ防除にはデップテレックス粉剤の使用が便利です、朝つゆがある間に葉の上に播くと葉に良く着きます。うどん粉病には硫黄水和剤やモレスタンを散布します。
急性萎凋症
マクワやメロンの栽培では収穫直前に突然株が萎れて枯れてしまうことがあります。特に2、3日梅雨の雨が続いて急速に晴れるときに起こります。原因は水分過多による根の活性低下。根への土壌病害虫の感染。着果の負担による根の活性低下などが考えられます。そのための対策は4点ほどあります。
1. 接ぎ木栽培の苗を購入して根の張りや、病気に強い株を育てる。
2. 畑の排水を良くして、梅雨の雨が畑にたまらないようにする。
畦を高くしてさらに黒マルチをして、畦の一部が必ず乾燥状態になるような土壌条件を作る。
3. 栽培する畑の土壌消毒をして、土壌の病害虫の被害をなくす。
家庭菜園では野菜の栽培を何年も続けると、線虫の発生が多くなります。春野菜の栽培前に石灰窒素を施用して良く耕して、線虫の密度を下げるのも良い方法です。
4. 着果をさせないつるを作って、遊びづるとしたり、着果枝以後の孫づるを適度に放任して茎葉が繁茂した状態を作る。
等の方法です。