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愛知の伝統野菜⑤もち菜(正月菜)とは

2023.07.20

伝統野菜・固定種

もち菜(正月菜)
正月菜(もちな)

尾張地方のお雑煮は、かつおだしのすまし汁に切り餅を入れ、もち菜を添えたものです。
この地方の年の始めに食べる野菜がもち菜です。
もち菜は古くから尾張地方で栽培されてきた小松菜に近い在来の菜類です。
種苗商では‘中生丸葉小松菜’などとも呼んでいます。

現在販売されている小松菜の多くは関東地方が原産でF1品種化されています。
これらの特徴は葉色が濃く、肉が厚く、さらに収量と日もち性を高めるために葉柄が太くなっています。
しかし、もち菜の品種はこれらの改良が進んでいないため、小松菜品種に比べると葉色が淡く、収穫後葉色が早く黄化します。

名古屋市内のスーパーなどでは年末だけ小松菜の売場がもち菜売場に変身する場合が多く、販売されているもち菜も多くは小松菜のF1品種です。
しかし、食感はもち菜が柔らかく、あくがないのでこの味が忘れられない消費者もあり、名古屋市近郊の一部農家ではこだわりの生産を行っている人も存在します。

栽培は従来は9月20日前後に播種をして、年末に収穫してきましたが、近年は秋が暖かくなり、10月に入って播種しても年末に適度な大きさの株が収穫できる年が多くなりました。