エンドウ|BakerCreek|野菜の世界
2026.07.22
野菜遺産プロジェクト
エンドウ|BakerCreek|野菜の世界
小さな庭に広がる、世界のエンドウの物語
― 海外の種子カタログから見えてくる、その面白さ ―
アメリカの種苗会社 Baker Creek Heirloom Seeds が発行する種子カタログには、世界各地の野菜や品種が、美しい写真とともに紹介されています。
このシリーズでは、その中からひとつの野菜に焦点を当てて、特徴や品種、食べ方を少しずつご紹介していきます。
今回取り上げるのは「エンドウ(PEAS)」。
春の家庭菜園で人気の高いエンドウは、実を食べる「ガーデンピー」、莢ごと楽しむ「スナップピー」、平たい莢が特徴の「スノーピー」など、用途によってさまざまな種類があります。
古くから世界各地で栽培されてきたエンドウは、食卓を彩る野菜であると同時に、地域の歴史や人々の思いを受け継ぐ“生きた種”でもあります。
個性豊かなエンドウの品種
エンドウは、育てる環境や食べ方に合わせて、長い年月の中で多くの品種が生まれてきました。
ここでは、カタログに掲載されている中から、特徴的な品種をご紹介します。
■ TOM THUMB GARDEN PEA(トム・サム・ガーデンピー)
トム・サムは、コンテナ栽培や限られたスペースの家庭菜園にも向く、小型のガーデンピーです。
草丈は約20cmほどと非常にコンパクトで、支柱を必要としないほど育てやすいのが特徴です。
主に豆をむいて食べるタイプですが、若い莢は甘くやわらかく、莢ごと楽しむこともできます。
![]()
■ KING TUT PURPLE(キング・ツタンカーメン・パープル)
その名前からも強い印象を受ける、非常にユニークなエンドウ品種です。
伝説では、古代エジプトのツタンカーメン王の墓から発見された種子に由来するとされ、長い歴史を持つ品種として紹介されています。
野菜を育てる楽しみだけでなく、遠い時代へ思いを馳せることができる、“物語を持つ野菜”のひとつです。

■ GOLDEN SWEET(ゴールデン・スイート)
ゴールデン・スイートは、明るいレモンイエローの莢が特徴的な珍しい品種です。
約1.8mほどに伸びるつるには、美しい紫色の花が咲き、野菜でありながら庭の景観にも彩りを添えてくれます。
食べる楽しみだけでなく、育てる過程で変化する色合いも魅力のひとつです。

■ CAROUBY DE MAUSSANE(カルビー・ド・モーサンヌ)
フランス南部、モーサンヌ地方に由来する伝統的なスノーピーです。
最大で約15cmほどにもなる大きな莢が特徴で、スノーピーの中でも特に存在感のある品種として紹介されています。
ピンクやバーガンディ色の花は、成長とともに紫から青色へ変化し、野菜畑を華やかに彩ります。

■ SUGAR BON SNAP PEA(シュガー・ボン・スナップピー)
シュガー・ボンは、早く収穫できる矮性タイプのスナップピーです。
草丈は比較的低く、限られたスペースでも育てやすいため、小さな庭やコンテナ栽培にも向いています。
莢ごと食べられるほか、中の豆もおいしく、収穫したてをそのまま味わう楽しさがあります。

世界で楽しまれるエンドウの食べ方
エンドウは、世界各地でさまざまな料理に利用されています。
ガーデンピーは、豆を取り出してスープや煮込み料理に使われることが多く、乾燥豆として保存される文化もあります。一方、スナップピーやスノーピーは、莢ごと食べられることが大きな魅力です。
炒め物、サラダ、付け合わせなど、シャキシャキした食感と自然な甘みを活かした料理に向いています。また、紫色や黄色の莢を持つ品種は、料理の彩りとしても楽しめます。
エンドウは、単なる食用野菜ではなく、育てる楽しみ、眺める楽しみ、味わう楽しみを兼ね備えた存在なのです。
おわりに
日本でも春野菜として親しまれているエンドウですが、世界には、コンパクトに育つもの、歴史的な物語を持つもの、美しい色彩を楽しめるものなど、実に多彩な品種があります。
普段何気なく食べている野菜も、世界の品種を知ることで、その背景にある歴史や人々の思いが見えてきます。小さな庭で育てる一本のエンドウが、遠い国や過去の時代とつながるきっかけになるかもしれません。
今回紹介した内容は、Baker Creek Heirloom Seeds発行のカタログ
『The Whole Seed Catalog 2026』に掲載されています。
ご興味があれば、ぜひ手に取ってみてください。



