秋に植える珍しい野菜|伝統野菜のルーツと育てる楽しみ
2026.07.21
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秋は、夏の暑さがやわらぎ過ごしやすくなってくる季節で、野菜の種まきにぴったりの時期です。
「これから寒くなるのに育つの?」と思う方もいるかもしれませんが、寒さに強い野菜はたくさんあります。
なかでも珍しいのが、スーパーにはあまり並ばない、ちょっと変わった野菜たち。ひとつひとつの野菜には育まれてきたルーツがあります。
ルーツを知ると、育てる時間も収穫の時間も味わう時間も、より特別な時間になります。
この記事では秋に育てられる珍しい野菜のルーツや育てる楽しみについて紹介します。
秋に植えられる、ルーツも楽しい珍しい野菜
秋は、冬から春の収穫に向けて野菜の種まきを楽しめる時期です。ここでは、秋に植えられる、スーパーではあまり見かけないちょっと変わった野菜を紹介します。
種まき・収穫時期は地域や気温、品種によって前後します。寒冷地では防寒対策をしたり、冬を越して春に収穫したりする場合もあります。
ここで紹介する野菜の他に、秋に植えられる野菜をもっと知りたいという方は、「10月にまく野菜の種」・「11月にまく野菜の種」も合わせてご覧ください。
放射状に広がる葉が珍しい、冬の寒さで甘くなるタァサイ

| 野菜名 | 種類 | 種まき時期 | 収穫の目安 | 大きさ | 育てる場所 |
| タァサイ | 固定種 | 9〜10月頃 | 約45〜60日 | 直径約30〜40cm | プランター 地植え |
タァサイは、寒くなると葉が地面に向かって放射状に平たく広がる、見た目がユニークな野菜です。
濃い緑色の肉厚な葉が特徴でクセが少なく、鍋に入れたり、さっと炒めたりして楽しめます。
昭和のはじめに中国からやってきた野菜
タァサイ(塌菜)は中国生まれの野菜で、白菜と同じアブラナ科の野菜です。
日本へは昭和の初めごろに伝わり、「縮み菜」とも呼ばれてきました。寒さに強く、冬に旬を迎える中国野菜として親しまれています。
寒くなるほど、見た目と甘さの変化を楽しめる
タァサイは、9〜10月頃に種をまけば、約45〜60日で収穫できる寒さに強く育てやすい野菜です。
育てる一番の楽しみは、寒くなるにつれて変わっていく見た目と甘さです。あたたかい時期は葉が立ち気味ですが、寒くなるにつれて、地面に向かって平たく、放射状に広がっていきます。「だんだんお皿みたいになってきた」と、その変化を見守る時間も楽しいもの。
さらに、寒さや霜に当たるほど甘みがぐっと増していきます。その年の冬の寒さによって甘さも変わるので、「今年はどんな味かな」と毎年の楽しみにもなります。
詳しい育て方についてはこちらをご覧ください。
出汁いらず!博多のお雑煮に欠かせないかつお菜

| 野菜名 | 種類 | 種まき時期 | 収穫の目安 | 大きさ | 育てる場所 |
| かつお菜 | 固定種 | 9〜10月頃 | 約60日 | 葉の長さ約40cm | プランター 地植え |
かつお菜は、濃い緑色の大ぶりな葉が特徴の、高菜の仲間です。
「だしいらず」と言われるほど深いうまみがあり、煮るだけで雑煮や吸い物の味が決まります。
「勝男菜」とも書かれる博多の縁起野菜
かつお菜は、江戸時代中期ごろから福岡県の博多で育てられてきた伝統野菜です。
煮るとかつお節のような旨味が出ることから「かつお菜」と呼ばれるようになりました。
「勝男菜」とも書かれ、縁起のよい野菜として、博多のお正月の雑煮には欠かせない存在です。
育てた人だけが郷土の味を楽しめる
かつお菜は、9〜10月頃に種をまけば、約60日で収穫できる丈夫で育てやすい野菜です。
育てる一番の楽しみは、普段はなかなか手に入らない郷土の味を体感できることです。
かつお菜は福岡県を中心に流通しており、他地域ではあまり見かけない野菜で、生のものに出会える機会はめったにありません。だからこそ、採れたてのかつお菜を楽しめるのは、育てた人だけのちょっと贅沢な楽しみです。
詳しい育て方についてはこちらをご覧ください。
尾張のお雑煮に欠かせない正月菜

| 野菜名 | 種類 | 種まき時期 | 収穫の目安 | 大きさ | 育てる場所 |
| 正月菜 (もち菜) |
固定種 | 9〜10月頃 | 約40〜60日 | 草丈約25〜30cm | プランター 地植え |
正月菜(もち菜)は、名古屋を中心とした尾張地方で親しまれてきた、見た目は小松菜のような菜っ葉です。あくが少なくやわらかいので、さっと火を通すだけでおいしく食べれます。
「名を持ち上げる」縁起担ぎの伝統野菜
正月菜(もち菜)は、尾張地方で昔から育てられてきた伝統野菜です。
尾張のお雑煮は、かつおだしのすまし汁にお餅ともち菜を添えたシンプルなもの。
江戸時代の尾張藩では、武士が「名を持ち上げる」縁起担ぎとして食べたとも言われ、「正月菜」の名で親しまれています。
育てて味わう、尾張のお雑煮文化
正月菜(もち菜)は、9〜10月頃に種をまけば、約40〜60日で収穫できる、生育が早く育てやすい野菜です。
育てる一番の楽しみは、育てた正月菜で尾張に伝わるお雑煮を味わえること。正月菜とお餅を添えただけのシンプルなお雑煮は、その土地ならではの味。他の地域に住んでいてもその食文化に触れられます。
特にお子さんと一緒に育てれば、郷土の文化や歴史に興味をもつきっかけにも繋がります。
詳しい育て方についてはこちらをご覧ください。
1株2~3kg?!日本三大漬菜のひとつ広島菜

| 野菜名 | 種類 | 種まき時期 | 収穫の目安 | 大きさ | 育てる場所 |
| 広島菜 | 固定種 | 9〜10月頃 | 約60〜70日 | 長さ約50〜60cm 重さ1株で約2〜3kg |
プランター 地植え |
広島菜は、広島で親しまれてきた、白菜の仲間の大きな菜っ葉です。1株が2〜3kgにもなり、シャキッとした歯ごたえとほのかな辛みが特徴。「広島菜漬け」をはじめ、漬物にするとおいしくいただけます。
江戸時代に京都から広島へ伝わった三大漬菜
広島菜は、広島で育てられてきたアブラナ科の野菜で、白菜の仲間です。
江戸時代、参勤交代の際に京都から持ち帰った菜がもとになったともいわれており、明治以降に現在の姿になりました。高菜・野沢菜とともに「日本三大漬菜」のひとつとされています。
どこまで大きくなる!? ぐんぐん育つ姿を楽しめる
広島菜は、9〜10月頃に種をまけば、約60〜70日で収穫できる野菜です。
育てる一番の楽しみは、ぐんぐん大きく育っていく姿を見ること。「こんなに大きくなるの!?」という驚きは、育てたからこそ味わえるもの。
自分で育てた広島菜を漬けて味わう時間も、冬ならではの楽しみです。
詳しい育て方についてはこちらをご覧ください。
大根なのに葉っぱだけ!?昔ながらの葉大根(つまみ菜)

| 野菜名 | 種類 | 種まき時期 | 収穫の目安 | 大きさ | 育てる場所 |
| 葉大根 | 固定種 | 9〜10月頃 | 約30〜40日 | 草丈約20〜30cm | プランター 地植え |
葉大根は、根ではなく「葉」を食べるために育てる大根です。
やわらかい葉は味噌汁の具や菜飯、浅漬けにぴったり。スーパーではあまり見かけない、昔ながらの野菜です。
昔ながらの食文化から生まれた大根
大根は奈良時代ごろに日本へ伝わり、江戸時代には庶民の食卓に広く親しまれた歴史の長い野菜です。大根の葉は「すずしろ」として春の七草にも数えられ、葉も古くから食用として利用されてきたといわれます。
昔は、間引いた若い葉も無駄なく、味噌汁や菜飯にして食べるのが当たり前でした。葉大根は、そんな「根も葉も余さず味わう」昔ながらの食文化から生まれた野菜です。
すぐに収穫できる!間引きながら長く楽しめる
葉大根は、9〜10月頃(暖かい地域なら年中)に種をまけば、約30〜40日で収穫できる、とても手軽な野菜です。プランターでも育てやすく、初めての方にもおすすめです。
育てる一番の楽しみは、間引きながら長く収穫できることです。間引きながら少しずつ採れるので、しばらくの間、食卓で新鮮な葉大根を味わえます。
詳しい育て方についてはこちらをご覧ください。
中が空洞!?ずんぐり太い大浦太牛蒡

| 野菜名 | 種類 | 種まき時期 | 収穫の目安 | 大きさ | 育てる場所 |
| 大浦太牛蒡 | 固定種 | 10〜11月頃 | 種まきから約150日 (秋まきは翌春どり) |
長さ約60cm〜100cm 中央部の直径約10cm |
地植え |
大浦太牛蒡(おおうらふとごぼう)は、ふつうの細長いごぼうとは違う、ずんぐりと太いごぼうです。
中央部は直径10cmほどにもなり、中には大きな空洞があります。
大浦太牛蒡はやわらかく風味が豊かで、煮物やきんぴら、天ぷらでその食感を楽しめます。中央の空洞に具を詰めて味わう、面白い食べ方もあります。
成田山の精進料理で使われたきた特別なごぼう
大浦太牛蒡は、千葉県の大浦地区で受け継がれてきた伝統野菜です。古くから成田山新勝寺の精進料理に使われる特別なごぼうとされ、長らく一般にはあまり流通していませんでした。
どんな姿に育ったかな?掘り出す瞬間が楽しみ
大浦太牛蒡は、10〜11月頃に種をまける野菜です。根が深く張るので、深く耕した地植えが向いています。
育てる一番の楽しみは、収穫のときに掘り出す瞬間です。種まきから収穫まで約150日。秋にまくと、冬を越して翌春に収穫を迎えます(寒い地域では防寒が必要です)。土の中でどれだけ太ったかは、掘り出してのお楽しみ。ずんぐりと太った姿が現れる瞬間は、育てた人だけが味わえる驚きです。
詳しい育て方についてはこちらをご覧ください。
こんな豆見たことない!ツタンカーメンの紫えんどう

| 野菜名 | 種類 | 種まき時期 | 収穫の目安 | 大きさ | 育てる場所 |
| ツタンカーメンの紫えんどう | 固定種 | 10~11月頃 | 翌春(5月頃) | 莢の長さ約7〜8cm | プランター 地植え |
ツタンカーメンの紫えんどうは、その名のとおり、莢が赤紫色をした珍しいえんどうです。スーパーで見かける緑のさやえんどうとはひと味違う、目を引く色合い。中の豆は普通のえんどうと同じグリーンで、グリーンピースとして豆ご飯などで楽しめます。
古代エジプト王の墓から見つかった!?不思議な伝説をもつえんどう
ツタンカーメンの紫えんどうには、古代エジプト王・ツタンカーメンの墓から見つかった豆が起源、という言い伝えがあります。あくまで伝説とはされていますが、発掘された豆を育てたら芽が出た、そんな逸話で知られる、ロマンあふれる品種です。
珍しい色合いを楽しみながら育てられる
ツタンカーメンの紫えんどうは、10~11月頃に種をまけば、冬を越して翌春に収穫できます。つるが長く伸びるので、支柱を立てれば、プランターでも育てられます。
育てる一番の楽しみは、普通のえんどうとは違う、珍しい色合いを育てながら眺められることです。つるには赤い花が咲き、やがて赤紫色の莢がふくらんでいきます。緑の多い菜園の中で、その色はひときわ目を引く存在。珍しい野菜を自分で育てる楽しみは、育てた人にしか味わえない醍醐味です。
詳しい育て方についてはこちらをご覧ください。
まとめ
秋に種をまく野菜には、その土地で長く受け継がれてきた伝統野菜がたくさんあります。
冬の寒さで甘くなるタァサイ、お正月の食卓を彩るもち菜、驚くほど太い大浦ごぼう。どの野菜もスーパーではなかなか出会えない、ちょっと変わった野菜たちです。
それぞれの野菜のルーツを知ると、育てる時間も、食べる時間も、もっと楽しみになります。野菜を通して、各地の歴史や食文化にも触れられるのも自分で育てるならではの楽しみです。
今年の秋は、ちょっと珍しい野菜を、育ててみませんか。
「野菜遺産PROJECT」では、育てた野菜やおすすめのレシピを共有することができます。みなさんの体験を是非シェアしてみてください。



